2007/07/20

実は、短編でした

この本の目次には3つの項目が並んでいました。当然、1冊で一つの物語、つまり、長編と思って読んでいた私は、なんだかおかしいなぁ…と思っていました。

一見、事件は解決したかのように思えるのに、またしても『鏡』繋がりの物語が続いているし…。どういうことなのか、よくわからないまま、しかし、いずれ物語の全貌が理解できるだろうと思い、それほど気にせず読み進めました。

そんな折、ham君が「何読んでるの?」と聞いてきましたので、「鏡の女」と答えると、「ああ、それ、短編集だよね…俺は内田康夫氏の本は長編の方が好きだな…」と、軽やかに言い去って行きました。

「え?」とわたし。実際に声に出して言ったのか、心の中で言ったのか定かではありませんが、かなりの驚きであったことは間違いありません。冷静になって、読んでいた本の目次や、物語の内容を見返すと、どう見ても、どう考えても『短編集』ではありませんか。どうして気が付かなかったのか…。

ham君が言うように、内田康夫氏の本は長編の方が断然、面白いです。きっと、内田康夫氏の小説の醍醐味と私が思っている、事件の背景に潜む登場人物のキャラクター、そのキャラクター同士が絡み合って織り成す人間模様が、短編では若干消化不良気味に、端的にまとめられているように感じるからかもしれません。『鏡の女』のそれぞれの作品も、実は裏には長編が存在して、ストーリーに欠かせない部分のみ残して、消去法でわざわざ短編にしたのではないか、と思えた私でした。

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