2007/10/23

神様のボート

過去に約束した愛を信じ、過去を思い、過去に悩み、これらに折り合いをつけることができず不器用に生きる母親。次々に目の前に突きつけられる現実を受け止めて進むしかなく、毎日を必死に生きる子供。そんな母娘の物語でした。

最後には、母親は現実に向き合って生きる決心をし、信じてきた過去の愛も実ります。一方、娘も母親と二人で必死に暮らしてきた過去を受け入れ、新しい生活に心置きなく身を投じて生きることを決めます。

この物語では、過去の自分と折り合いをつけること、新しい日々をのびのびと生きることを、母親、娘という二人の視点から描かれていましたが、本来、人間はその二つを一人で背負って生きているのだろうと思います。私がこの二つをバランスよく背負える日はいつのことやら…。

『15歳の残像』に続き、心に響く一冊でした。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

母と娘の間って
難しいんですね

オトコのぼくには
実感しにくいのですが

そのうち将来読み返せば
ちがうことをおもったりするのでしょうか・・・

akou さんのコメント...

>ぽおさん
はじめまして、ぽおさん。
コメントありがとうございます。

母と娘の関係、その数だけあるのだと思います。この”神様のボート”の母娘もそのうちの一つの縮図のような、そんな気がしました。とてもハードで且つモロイところも秘めた印象の二人ですが、母として、娘として、また、お互いに女性として、人間として成長できるような、そんな母娘の関係に思えました。人間として、お互いに摩擦をしつつ次のステップに踏み出せる、素晴らしい関係ですよね。