2007/08/16

大原美術館 8月10日(金)

時間の過ぎるのは早いものです。心待ちにしていたham君のお盆休みも終わり、今朝からham君は日常に戻っていきました。blogにupしたいことはた くさんあるのに、時間ばかりが過ぎていきます。後手後手になりますが、日々のことを順を追って綴っていきたいと思います。

ham君の1泊2日の倉敷出張について行った二日目、学生時代より、いつかは行いってみたい、と思っていた大原美術館へ行って来ました。美観地区を道なりに歩いていくとツタの絡まる壁が現れ、その一角にともすれば見逃してしまうほどの入り口がありました。

大原美術館の小冊子によると、「大原美術館は、倉敷を基盤に幅広く活躍した事業家大原孫三郎が、前年逝去した画家児島虎次郎を記念して昭和5年に設立した、 日本最初の西洋美術中心の私立美術館です」、ということでした。ニューヨークの近代美術館が1929年(昭和4年)に開館したとのことですから、これと時 を大きく違えずして日本にもこの様な美術館ができた、と思うと大原孫三郎氏とはいかなる人物だったのかと興味を抱きました。大原美術館のHPにその業績が紹介されており、その先見の識には目を見張るものがありました。

美術館の小ぢんまりした入り口を括ると、荷物預かりがありました。しかも、サービスでこの様な施設が併設されており、美術を楽しむ人への思いやりがとても感じられました。重たい旅行鞄を持った私には本当に有難い限りの心遣いでした。

美術館本館は、ギリシアのパルテノン神殿を髣髴させる建築様式でした。両脇には、二体のロダンが迎えるようにして立っていました。

中 に歩みを進めると、歴史を感じさせる建物の壁に、一つ一つ選び抜かれたのであろうことが、ひしひしと伝わってくる絵画の数々が展示されていました。私は、日本で も何箇所か美術館には行っていますが、その殆どが新しく近代的な建物であると同時に、美術品の管理も確実で、観る側にとっては美術品がとても遠い世界の モノと感じる展示のされ方が多いように思います。一方、大原美術館では、もちろんしっかりとした管理の下なのでしょうが、手で触れられる距離に美術品が展 示されており、芸術を非常に身近に感じ取ることのできる環境でした。海外の美術館で、この有名な作品が、こんなふうに展示されていても良いのかな…と思っ たことがありましたが、大原美術館では、その感覚に近い展示の方法がとられていたと思います。夏休みということもあり、家族連れの入場者が多かったです。 子供の頃から、この様に身近に芸術を感じられるというのは本当に良いことだと思いました(あまり興味なく時間をもてあましている子供、そして、大人もいま したが…)。

展示されている絵の中で、気に入ったものがいくつかありました。一つはセガンティーニの『アルプスの真昼』、スイスでトレッキングをしたときのことを思い出しました。私はあまり宗教画には興味を示さないのですが、今回観た中では気になるものがありました。エル・グレコの『受胎告知』で す。絵の中央辺りに描かれている白百合の花にとても惹かれたのと、天使ガブリエルの羽が黒いのが不思議に思えました。私の無知のなす業かもしれません が、”天子の羽=白”というイメージが先行します。他、WEB展示室にはありませんでしたが、イサム・ノグチの『リチャード』も印象的でしたし、もう一 つ、とっても気に入った絵(冬のヨーロッパの街が描かれたもの)がありました。たぶん、ユトリロの『パリ郊外-サン・ドニ』という作品だったと思うの ですが、残念ながら正確なことを思い出すことができません。

本館の絵画を丁寧に観終って、外に出ると睡蓮の池がありました。2000年6月下旬、ジヴェルニーにある「モネの庭の睡蓮」から株分けされてやってきたものとのことです。それほど大きな敷地ではありませんでしたが、とても美しく咲いており、目を和ませてくれました。

今 回は、主に本館を中心に大原美術館を楽しみました。分館、工芸館、東洋館、児島虎次郎記念館と、それぞれをじっくりと楽しむ時間と体力があれば、なお素晴 らしかったのだろうと思いますが、今回の訪問だけでも、十分、その素晴らしさを満喫してきました。以前からの願いが叶い、とても満足した時間を過ごすこと ができました。

帰りにミュージアムショップを覗き、思い出にと、セガンティーニの『アルプスの真昼』のマグネットを購入しました。今は、自宅キッチンの冷蔵庫に張られています。

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