2008/12/22

『TIME'S』 再び

再び、「安藤忠雄建築研究所」設計の『TIME'S』を訪れました。前回訪れたときは、三条小橋側にある入り口から入り、『CAFE cento cento』でランチを楽しみました。そして、遠慮がちに外観を撮影、「ああ、もう少し色々と観て回りたいのにな…」との思いを残しつつ帰宅。そいうわけで、今回は大胆にも探検をするつもりで行きました。

上述、ランチをした日は、南側にも入り口があることに気が付きませんでした。ですから今回は、もう一つの入り口から入ろうと心に決めていました。一人でしたから少々不安はありました。ビクビクしながらも、ぐるりと建物の南側に回りました。キョロキョロしていると、入り口を発見。ところがその入り口、とっても細く狭い上に、隣のお店とピッタリとくっ付いて建っているではありませんか!本当にここから入ってよいのかしら…と尻込みをしてしまいました。小さいとは聞き知っていましたが、正直なところまさかこれ程とは思っていませんでした(左の写真の中央、電柱の真横が入り口)。

その入り口の、あまりの目立たなさに、大いなる心細さを感じながらも、勇気を振り絞って歩を進めました。何せ今回は「探検」を目的に来たのですから、少々のことで怯んでいてはなりません。

入り口を入って直ぐ左に、『TIME'S』の見取り図を発見しました。どなたかのHPにて見たことのある図でしたが、実際に目にするのは初めてでした。3階立てのこのビル、1階を「RIVER LEVEL」、2階を「STREET LEVEL」、3階を「UPPER LEVEL」と呼ぶことを知りました。自然の条件に合わせてそれぞれの階に付けられたこの呼び名、私はとても素適に思います。そして、ますますこの建物を好きになりました。暫くこの図に見惚れていましたが、あまり時間をかけて観ているのも怪しいかしら…と思い、一先ず写真に記録をしてその場から移動することにしました。

入り口近くの見取り図から真っ直ぐに進むと、そこには靴屋さんがありました。カラフルなスニーカーたちがガラス越しにディスプレイされている様は、見ているだけで心が軽くなり、ウキウキとしてきました。靴屋さんの左手には数段の階段が設けられており、ここを登るとなんだか明るい。上を仰ぎ見ると吹き抜けになっており、長方形の部分から青空が覗いているではありませんか!ビルの中の筈なのに、一部が外と面している。晴れの日は光が入り、雨の日は雨粒が落ちてくる。中にいても外=自然の状況を感じられる。いかにも安藤忠雄氏らしい建物…と暫し上を見上げていました。

靴屋さんの横を通り抜けると階段がありました。階段を登り、上から三条小橋の方向を眺めると、高瀬川沿いに『CAFE cento cento』へ続く通路が続いていました。もちろん、この通路にも屋根はなく上は青空。雨が降っていたら傘をさすか、小走りに走り抜けるか、どちらかでの移動が必要です。右横には高瀬川のせせらぎが気持ちよさそうに流れ、時に赤く色を染めた落ち葉が流れ行く様も見られました。あまりにも川面が近い為、雨で水嵩が増し、通路に浸水してきたことはないのだろうか…などど、考えてしまう程でした。mixiの安藤忠雄氏のコミュニティでの書き込みに、この建物を建てるにあたり、川べりに手すりを付けるか付けないかで、安藤忠雄氏がお役所と議論をしたとのエピソードが寄せられていました。高瀬川はとても浅く、万が一、落ちてしまったとしても靴を濡らす程度と思われますが、確かにあまりの近さに、最初は心もとなさを感じたのも事実。しかし、今となっては手すりのない開放的で、且つ自然を身近に感じられる建物が大好きな私。手すりが取り付けられなくて良かった…と思います。

『CAFE cento cento』について暫し休憩。この日もここでランチを頂きました。窓側の席で、川の流れを眺めつつのランチ、本当に贅沢な話です。川の流れを観る他にも、ビルの内部を少々観察。ガラス張りになっていて店内が良く見えている隣のお店に、地下に続く階段があるのが見えました。ビルの入り口にあった見取り図では、地下階があることに気が付きませんでした。

さて、この階段。謎のままにして帰ることもできたのですが、その日は探検家気分だった私。好奇心を抑えきれず、『CAFE cento cento』のウエイトレスさんに勇気を出して尋ねてみました。すると地下階には、事務所とお手洗いがあるのだとか。「そうなんですか!」と、新発見に心躍らせた私。流石に事務所には立ち入らせてもらえないでしょうけれど、お手洗いならばお客である私が使用するのに問題はないはず。そういうわけで勿論、お食事の後、お化粧直しを装って地下に行って来ました。お手洗い自体は非常に小さな空間でしたが、鏡が張り巡らされており、視覚的な効果のせいでしょう、かなりの広さに感じられました。地下に降りていく階段は、ダン・ブラウン氏の小説に出てくるような、古代ローマ時代を思わせるような雰囲気で、私の心を捉えて離さなかったのは言うまでもありません。

再度訪れた『TIME'S』、隅々まで見ることができ、大満足。とても有意義な時間でした。

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