
さて、アーツ&クラフツという言葉、日本語にすると美術工芸運動となるのですが、イギリス人の詩人で、思想家であり、デザイナーでもあったウィリアム・モリス氏(1834-1896)が主導した運動です。これは、イギリス王朝の絶頂期のヴィクトリア朝時代(1837-1901)に起こったものです。当時のイギリスは産業革命が全盛期を迎えており、大量生産を主流とした商品が流通していました。それらは安いものの、粗悪な商品でした。この状況に批判的に対応したのがウィリアム・モリス氏でした。彼は量産ではなく、中世に行われた手仕事の素晴らしさに眼を付け、芸術と生活を統一することを目標に掲げて運動を繰り広げました。ウィリアム・モリス氏のこの思想は、各国の芸術家達に刺激を与え、その後の美術運動に大きな影響を残しました。しかし、一方では手仕事で生産される生活用品の高価さから、富裕層にしか手に入らないという批判もあったようです。

冒頭にupした写真、京都国立近代美術館の外観です。槇文彦氏の設計による建物です。とてもシンプルな建物でした。ところが中に入ってみると、その窓からはまるで風景の一部分を切り抜いたかのように、平安神宮の鳥居を眺めることができたり、大文字山がちらりと見えたりと、「今」の京をそのまま写真にするような、それはそれは洒落た構造になっていました。窓の近くには椅子が幾つか設置されており、ここからの自然の芸術を眺めるのも、これまた一興と思いました。
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