親友の一人、canaさんと会った時、「今、この本よんでるねーん」と見せてもらったのが、江國香織さんの『赤い長靴』。お互いに感想を伝え合いました。その後、自宅に帰ってコンピューターを開き、自分のblogに書き記してある感想文を探しました。読んだ直後に抱いた自分の感想に興味があったのです。隅々まで探したのですが、感想文はありません。「あれっ?」と思い、再度確かめましたが、やはりなく…。実は…私…読んでいなかったのですね。
というわけで、私はcanaさんに知らずとは言え「嘘をつきました…」。そしてその上に!感想まで話していたのです!一体、あの時の私の感想は何だったのでしょうか…。全く、面目ない。そいうわけで、図書館でリクエストをして借り、読むに至りました。
一組の夫婦のお話でした。例によって江國香織式に、夫、妻、その両方の視点から世界は綴られ、物語が進みます。この夫婦、一言で表すなら”コミュニケーション不足の夫婦”。妻が当日の出来事ことを夫に話すも、夫は適当に返事をするのみ。会話は不正立。妻は一人で会話を完結することに。ではこの夫婦、上手くいっていないのかと言うとそうではなく、淡々と生活を営んでいます。夫は妻に、妻は夫に「自分は本当はこうなのにな…」とか、「こうして欲しいな…」など思いはあるものの、伝えず求めず自分の中に仕舞い込みます。過去には、妻が夫に”ちゃんと向き合って欲しい”旨、訴え続けたこともあったものの、今では妻は「夫がいない時のほうが夫を愛しいと感じる」と思い、「夫がいなくても生きていける」とまで考えるようになるのです。それでも夫婦は一緒に暮らしていくのですが…。
この本を読んで、夫婦にはそれぞれの夫婦のスタイルがあるのだということを再認識しました。私たち夫婦は互いに言葉で想いや考えを伝え合い、確認し合いながら進んでいくことを好しとしています。勿論、これが全てで最良の方法ではない、のでしょう。だからと言って『赤い長靴』に出てくる夫婦のあり方が好い、というわけでもない。結局、正しいあり方なんてなく、それぞれの夫婦が最も居心地の良い関係を作る様、努力するしかないのでしょうか。夫婦、一番少人数で、一番小さな社会の単位、奥深し…。



























