2009/12/04

心に染み入る一冊

最近では、私は物事を冷ややかに捉えることが多くなったと思います。ですから、こういう類の本を読んでも感動することは殆どなくなりました。ですが今回は違った。衝撃的な感動ではなかったけれど、目の前が開けるというのか…じわじわと心に染み入るというのか…、上手く言語化できないのがもどかしい限りですが…そう、心動かされました。佐伯チズさんの自叙伝であるこの本には決して恵まれていたとは言えない子供時代、進学、就職、結婚、最愛のご主人との死別、退職、再就職、決して順風満帆ではなかった人生が赤裸々に綴られています。成功した人がこういった内容を書いても素直に受け止められないことがあるかと思うのですが、佐伯チズさんの場合はそういった嫌らしさを一切感じませんでした。文面からは謙虚さ、感謝の気持ち、前向きな様子が伝わってきて清々しかったです。この本を読んでいる途中に、私の中で蓄積されていたもやもやとした断片たちが片付くところに収まり、目の前が開けた感覚を味わいました。貴重な読書でした。

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