釧路湿原のいたる所で目にしたのが秋田蕗。最初はなんという植物なのかわからず、蕗のお化けみたいだな…茎のしっかりしているところはルバーブみたいだな… 雨が降ったら傘になるかも…などと思い巡らしていました。国立公園内にある散歩道や施設などで説明書きを探しましたが見つけられず、謎のまま旅を終えるこ とになるかと思っていました。一日の終わりに訪れた細岡ビジターズラウンジで、偶然出会った男性に秋田蕗であることを教えていただきました。私の発した「傘にな りそうですね」の一言に、その男性は「小さい頃はよく傘にして遊んだよ」といっておられました。皆、考えることは一緒なのですね。
綺麗な紫色の花もよく見かけました。濃すぎず薄すぎず、とても綺麗な紫色だなと思いました。また、ふわっとした花びらが可愛らしくも思えました。手折って帰り たいものだと思いましたが、なにぶん旅の途中でから飾る場所もありません。押し花にすることも考えましたが、道具も満足にありません。そんなこんなで結局、自然の姿を見て楽しむことに徹しました。後から聞いて知ったのですが、これはあの猛毒を持つトリカブトだったのだそうです。 うっかり手折って帰らなくてよかったです。
細岡ビジターズラウンジへ向かっている途中のこと、木々の間から茶色くて長い、そしてふんわり としたものを目撃しました。思わず息を呑みました。最初、キタキツネだと思ったのですが、それにしては茶が濃い。驚きと興奮の中、ham君にも知らせて様子を伺っていると、それはどうやらリスのようでした。私とham君がカメラ片手にそろりそろり近付いていると、その姿を見た地元の男性が「エゾリスだねぇ」と、 これまた興奮を押し殺して近付いて来ました。暫くは餌付けしてあるひまわりの種をモグモグと食べていたエゾリスでしたが、我々に気が付いたのか、足早に森の中へと帰って行きました。男性によると、最近では地元の人でもエゾリスを見る機会は少なくなっているのだとか。私たちは余程ラッキーだったのだと思いま す。あまり近付くと逃げやしないかと思い、デジタルズームで写真を撮った為、画質の悪い写真しか残すことができませんでした。
エゾリスを一緒に見た男性の方も自然をこよなく愛する一人だったようで、先にもご紹介した秋田蕗のことを教えて下さったり、丹頂がいた場所を教えて下さったりと、何かと親切にしていただきました。どうやらお仕事の最中だったようで、忙しそうにしていらっしゃいました。時間が許せば、ゆっくりとお話をしてみたかったなと思います。旅の出会いは一期一会。エゾリスに出会えたことも、地元の方とお話が出来たこともとても素適な思い出です。
エゾリスを一緒に見た男性が教えて下さった、丹頂がいる場所に行きました。長いくちばしで餌を啄ばんでいました。丹頂は一生同じ番いと過ごすとのこと。私たちが見た丹頂も、二羽で仲良く行動していました。この丹頂たちを見たのは午後でしたが、実は同じ日の午前中にも私たちは丹頂を見ています。この時は一羽、空に向かってくちばしを擡げ、悲しそうに鳴いていました。たまたま出会ったおばさんの話では、この丹頂の番いは、最近出来たレストランの屋根にぶつかり、羽根を追って墜落、狐にやられてしまったのだとか。鳴いていた丹頂は自分の番いを探し、毎日、相棒が亡くなった現場に足を運んでは、悲しい声で鳴いているというのです。鳥の話として聞き流すことができず、胸が痛く絞め付けられる思いでした。美しい鳥だと思います。右の写真もエゾリスのとき同様、画像があまり綺麗ではありません。近付いてカメラを構えることで、せっかく二羽が幸せそうに餌を啄ばんでいるのを邪魔したくなかったのです。こっそりとその姿を見せてもらい、二羽のお邪魔にならないうちに帰って来ました。
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