私は一度読んだ本を、読み返すことはあまりありません。でも、この本はわざわざ図書館にお願いして、貸し出し期間を延長してもらい、再度読み返しました。何時でも手元にあって、読み返すことができたら…と思わせる一冊でした。
江國香織さんの結婚生活を綴った本でした。江國さんがご結婚されて、ちょうど三年目になる年に書き上げられた本です。私もham君と結婚して今年で三年目、この本の中の江國さんに共感することが多かったのが読み返した理由だったのかもしれません。
文中、江國さんは、結婚はstruggleだと言っておられる箇所があります。私はこの本を読んで、一人の人と向き合うこと、これ自体がstruggleなのだと感じ、結婚とはこの人とこれから先、しっかり向き合って生きていくぞ!という決心なのかもしれないと思いました。
ただ、一人の人としっかりと向き合うこと、これはとってもパワーのいる作業だと思います。時にはぶつかり合い、傷付けることもあれば、傷つけられることもあります。蜂蜜のように甘い、幸福な時間ばかりは続きません。一層、結婚する前のような、恋人、或いは、友人としてお付き合いの仕切り直しをした方が、お互い穏やかに過ごせるのではないだろうか…と思いたくなることもあります。つまり、意見相違があったときには、「とどのつまり」まで突き進まないと気がすまない、そんな苦しく、苦々しい時も共有しなくてはならない、それが結婚なのかもしれないと思います。傷付くことを恐れていてはできない、言わば髪を振り乱してでも、捨て身で取り組む、そんな覚悟も必要なのかもしれません。
それでもお互いを必要とし、離れている時間に「どうしているのかな」と思ったり、「会いたいな」と思ったり、一人で過ごしている時、友達と過ごしている時 に「ああ、この瞬間を共有できたら良かったのに」、「これ、見せてあげたいな」といったように、今はここにいない相手のことを考え、恋しく思う気持ちがあ る、そういうふうに思える間は「大丈夫」と私は思っています。
待ち合わせの時の心ときめく瞬間や、サヨナラを言わなければならない夕暮れが憎らしい気持ち、いつも異なる場で生活するからこそ一緒にいる時間を丸ごと共有できる幸福、そんな恋人同士の特権は過去の産物となる、それも結婚ですが、同じ空間で過ごす時が長いからこそ、同じ場に居ながらにして、お互いに違う風景を見て、違うことを考え、これを持ち寄って新たな世界を見出すことができる、これも結婚だと思います。
でも、やっぱりこれにはstruggleは避けられず、これに立ち向かう勇気が必要なのです。そして、struggleの数だけ、信頼や絆を深められたら良いのに…と思います。来月の一日で結婚して4年目を迎える私達、そんな時に出合ったこの一冊は、私にとってとても意味深いものとなりました。
0 件のコメント:
コメントを投稿