江國香織さんの『東京タワー』、東京に行く前に読めたらと思い、図書館で借りておきました。しかし結局、東京に行く前はバタバタしていて、帰って来てから読むに至りました。
東京タワーに見守られながら暮らす二人の男性のお話。男性といっても二十歳前後の学生で、二人は高校時代に出会った友達同士。二人揃って年上の、しかも既婚の女性と恋をしているという物語。
一人の男性は、既婚女性と同年代の女性の二人と同時にお付き合いをしており、「別れる時は自分から振る」と心に決めています。そして、この男性は恋愛に忙しいだけでなく、いくつものアルバイトをこなしていて、また、交友関係も広く、日々とても忙しく生活しています。彼からは、焦燥感や孤独を認めたくない、そんな若々しさが感じられました。
もう一人の男性は全く正反対。大学に行く他は特にこれといって力を入れていることもなく、大学自体も取り合えず在籍している、といった雰囲気。付き合っている年上の既婚女性に「ぞっこん」で、彼女中心に生活が彩られている、そんなタイプ。彼女の好きな本を読み、彼女の好きな音楽を聴き、彼女の好きな写真集を見て、彼女からの連絡を待つ、挙句に彼女の経営するお店に就職を決意する…そんな彼女中心の日々を生きており、好きになった人しか見えない、そんな若々しさが感じられました。
江国さんがあとがきで、「あらら、と思っていただければ…」と書いておかれましたが、本当「あらら…」な彼ら。なんだか懐かしいような、苦いような、苦笑してしまうような、そんな面白い一冊でした。
2 件のコメント:
これって確か映画になって黒木瞳とV6の岡田くんが出ていたのよねー。
最後はどうなるのか知らないんだけど、私も読んでみようかな。
>しもなおちゃん
そうなんや!映画になっているんや。知らなかった…。
ドラマティックなエンディングを期待すると、少々拍子抜けするかもしれないねぃ。でも「あらら…」と思いつつ読み終わって、暫くしてからじんわりと思うことあり、って感じだった。
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