ご両親のどちらかが日本人、どちらかがフランス人という佐藤絵子さんは、multiculturalな環境にて育ってこられたことは容易に想像できます。現在はパリ在中で、日本とフランスの文化を両方の言葉で紹介する雑誌、『ミニミックス』を作っておられる他、著書も多く出されています。最初は何気なく手にして読み始めた彼女の本でしたが、比較文化、国際交流、多文化共生等々に興味を持っている私にとっては思考を耕される思いがし、今ではすっかり夢中です。
さて今回読んだ一冊、日仏両国の文化的側面を持つ作者が、恋愛というテーマを扱っておられる、非常に興味深いものでした。この本では日仏の違いとして、”自身の思いを相手に言葉で伝える”という行為について、日本人はフランス人よりも希薄であるということが繰り返し書かれていました。この差異については恋愛に限定されるものではない、と私個人は思います。又、ここでは日仏の文化比較がされていますが、これもフランスをその他の欧米諸国(もちろん国によって違いはありますが)と置き換えても良いのではないか、と思いました。日本ではカップル間での以心伝心という様な、”言葉が無くても心で通じ合う”状況を美徳とする雰囲気があるように感じますが、私はこれにあまり賛成できず、むしろ、その中には「わかったつもり」という危険が潜んでいるのではないか危惧します。確かに長年カップルを続けていると、分かり合える部分が多くなるのは事実でしょう。しかし私はそれでも尚、互いに考えていることを伝え合うことは大切だと考えます。
本著では一般論として、日仏のカップル間におけるコミュニケーション量の差の原因の一つに、フランスではお互いがお互いの友達を紹介し合い、カップルぐるみ(!?)家族ぐるみでお付き合いすることが多い一方、日本ではお互いに自分の友達との時間とカップルでの時間の双方を別次元で存在させていると言われています。確かに、これは私も感じていたことでした。フランスの様にお互いの友達と仲良くなれれば、カップル間での話題にも共通のものが増えますが、日本の様にお互い別々に外の世界を持っていると、自然、話題も少なくなるのではとの意見でした。
さて私自身はどうか、というと、佐藤絵子さんの考え方に近いと思います。ですから、私はham君との関係において、言葉におけるコミュニケーションや、お互いの世界を共有すること大切に考えています。ham君も私と同じ考えなのか、はたまた私が押し付けてしまったのか…これに賛同してくれている様子で、最初は無口な彼でしたが、最近では沢山話をしてくれます。又、お互いの友人ともとても仲良くさせていただいており、二人の世界は以前より広がっているように感じます。本当に有難いことだと思います。これからも、それぞれが見聞きしたこと、感じたことを伝え合い共有していくことで、お互いの世界を更に広げ、二人の関係を深めていけたらと望みます。そしていつかham君と私がおじいちゃんおばあちゃんになっても、そういう二人であり続けたいと願います。
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