2008/01/29

清澄庭園

常宿となりつつある『コンフォートホテル東京清澄白河』 から歩いて数分のところに『清澄庭園』があます。何度も宿泊しているのに一度も行ったことがありません。時間があっても天気が悪かったり、季節がイマイチ だったり、他に行きたい場所があったりと、機会に恵まれませんでした。又、「次回も泊まるだろうから…そのときに行けるだろう」という安易な気持ちも行く 機会を逃していた理由の一つだと思います。この様子だといつまでたっても行けそうにありません。ですから今回の旅では、季節が今一つであることは否めませ んが、思い切って出かけることにしました。

kova ちゃんと、その愛娘のYちゃんと楽しいひと時を表参道で過ごした後、ホテルへ帰る前に立ち寄りました。最初のうちはさほど寒さを感じませんでしたが、徐々 に足が冷え、庭園内のベンチに座ってゆっくりと景色を楽しむという、のんびりとした散策は残念ながらできませんでした。しかし庭園を一周する中、その細や かな美しさは目を楽しませるには充分でした。

エ ントランスで切符を購入し、飛び石を伝って庭園内に歩き入ると、正面に咲き誇る花。寒い中でもグッと首を持ち上げ、誇らしげに咲いている大輪の花が私を出 迎えてくれました。白と淡い桃色の大きな花々。牡丹の一種でしょうか、余りにも綺麗で眺めることに一生懸命で、名前を見てくるのをすっかり忘れてしまいま した。

庭園は大きな池を一周歩いて回れるようにできていました。この様な庭園の造り方を「回遊式築山山水庭園」と呼ぶそうで、江戸時代の大名庭園に用いられたのを皮切りに、明治へと受け継がれ、『清澄庭園』の完成を持ってこの手法も完成をみたとされているようです。

私が『清澄庭園』を訪れたかった理由の一つに、この庭園の土地の一部が、江戸時代の豪商、紀伊國屋文左衛門の屋敷だったという言われがあると知ったからです。 私は紀伊國屋文左衛門について多くの知識を持つわけでも、傾倒しているわけでもなんでもないのですが、TVの時代劇で耳にする名前の人物が、実際に存在した痕跡を訪 ねてみたいという、若干ミーハー的な要素がないとは言い切れない、そんな程度の理由です。それでも歴史の一旦を垣間見たように思い、何となくロマンを感じてしまうのは私だけでしょうか。

も う一つ理由があるのですが、それは松尾芭蕉の歌碑があるから、というもの。これまた、特に私が松尾芭蕉に傾倒しているわけでも、松尾芭蕉についての知識が 豊富であるからでも、私が俳句を詠むからでもありません。昨年末に永遠の旅に出た祖父が、松尾芭蕉の師である北村季吟について、ある理由から非常に勉強を 積んでいましたから、今となっては会えなくなった祖父に近付ける気がして、行ってみたいな、と思ったのです。清澄庭園にあった松尾芭蕉の歌碑はかの有名な 「古池や かはづ飛び込む 水の音」のもの。もともとは隅田川の岸辺にあったものらしいのですが、護岸工事の際に移されていたものだそうです。

「ジャ ブジャブ池」と言うらしいのですが、周遊できる池には競りだす様に建てられた建築物がある他、東屋が設けられていました。又、池周辺に形良く立つ松の木々 には、丁寧に雪避けが施されており、お正月に金沢で訪れた兼六園を思い出させる場面が多々ありました。兼六園も素晴らしいお庭でしたが、全国的に有名な為 でしょう、人の出足が多く、のんびりとお散歩をするといった雰囲気は少なかった印象があります。それに比べると清澄庭園は、独りぶらぶらと心行くまで歩き 回れる、静かで落ち着いた場所だと思いました。

私 が庭園を訪れたのは、雪こそ降ってはいませんでしたが。底冷えのする寒い寒い日でした。足を止めてゆっくり見て回ることはできませんでしたが、その代わ り、あっちのわき道、こっちのわき道と、行き止まりであろうと、道がある限り歩いて見て回りました。そんな折、あるわき道の行き止まりにとても美しいお地 蔵様が。今回の東京訪問で、どこか一カ寺、お寺参りをしたいと思っていましたが、時間が取れずに断念していました。たまたま訪れた庭園の、たまたま入った わき道で、お地蔵様にお出会いした、偶然と言えばそれまでですが、巡り合わせということも言えるのではないでしょうか。お地蔵様の前で手を合わせ、心静か なひと時を頂戴しました。

お参りをして、その後も池の回りをそぞろ歩きつつ、庭園の終焉を目指していると、最後の最後に、素晴らしい橋と、灯篭に出会いました。

そ の橋というのは、右の写真でおわかりいただけるでしょうか、一枚石を二枚組み合わせて作られたものでした。シンプルで繊細な中にも壮大さが滲み出ているよ うに感じました。水に濡れていて、いかにも足を滑らせそうな雰囲気を醸し出していましたから、一歩一歩気を配りながら渡りました。意外に滑ることはなく、 安全のうちに渡り終えることが出来ました。この様な大きな長い一枚の石が二枚もあること自体、自然の偉大さを思わずにはいられませんが、これを橋にしてし まう贅沢さと思考には純粋に驚きました。

さ て次に、灯篭とは…。嗚呼、どうしてでしょうか…。私は、どうしても、この様な形態というか…、形状というのか…、この様な形に、とてつもなく心惹かれて しまいます。自分でも少々おかしいのではないだろうか…、と思う時がある程に心奪われてしまいます。灯篭の一番上に乗っている石、左写真の矢印が示してい るような…、がその形なのですが、なんと形容したら良いのでしょうか…。本来は飛ぶはずもない固く重い物体なのに、ふんわりと、まるでそよ風にたなびくよ うに、そして、流れるかのように尾を引く様、とでも言うのでしょうか。このやわらかく美しい曲線、そして、その曲線が終焉する様子を心の底から美しいと 思ってしまいます。その美にまさか!清澄庭園で出会えるとは!心躍る一瞬でした。

最後に「ねずみグッズ」。
私のお気に入りのうちの一つ。
私がham君に贈った携帯のストラップの一部でした。
ストラップにはねずみ君の他にチーズ等が付いていて
ストラップの役割を果たさなくなった時に
それらの付属品とはサヨナラしたのですが
どうしても、このねずみ君だけは捨てられず
未だに自宅の洗面所に鎮座されています。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

実は家とその公園の間に松尾芭蕉の生家跡があって、この辺には腐る程松尾芭蕉関係の遺物が残っているんだよ。しらなかった??

匿名 さんのコメント...

いいですね。

昨日,京都迎賓館の庭園工事に携わった方の講演を聴く機会に恵まれて楽しく話を聴いてきたばかりです。

すべての庭園には物語があり,意味があるそうです。だから感性に働きかけてくれるのだと思います。

このことは落ち着いて日記を書きたいなと思っています。

akou さんのコメント...

>sotamann
そうなんだ!だから、あの辺りに記念館があるのね!次回の東京旅行、またまた行きたい場所が増えたよ。しかも、近くに現代美術館もあるよね!?今まではメトロの二日間フリーパスを駆使して、あちこち遠出をしてたけど、以外にホテルから徒歩で行けるスポットが多いことに気が付いたよ。sotamann邸の見学も含めてね。

>めがねうさぎさん
このコメントを読んで、めがねうさぎさんと、どこか庭園を歩いてみたい!と思いました。いつかご一緒できる日が来るといいです!