10月19日(日)、大切な友人の一人であるオーガニックマヌカにお付き合い頂き、京都国立近代美術館にて開催中の『生活と芸術——アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民芸まで』を観に行って来ました。この展覧会が催されていると知った瞬間から「行きたい!」と強く思ったものでしたから、これが実現できてとても嬉しかったです。オーガニックマヌカ、ありがとう!
さて、アーツ&クラフツという言葉、日本語にすると美術工芸運動となるのですが、イギリス人の詩人で、思想家であり、デザイナーでもあったウィリアム・モリス氏(1834-1896)が主導した運動です。これは、イギリス王朝の絶頂期のヴィクトリア朝時代(1837-1901)に起こったものです。当時のイギリスは産業革命が全盛期を迎えており、大量生産を主流とした商品が流通していました。それらは安いものの、粗悪な商品でした。この状況に批判的に対応したのがウィリアム・モリス氏でした。彼は量産ではなく、中世に行われた手仕事の素晴らしさに眼を付け、芸術と生活を統一することを目標に掲げて運動を繰り広げました。ウィリアム・モリス氏のこの思想は、各国の芸術家達に刺激を与え、その後の美術運動に大きな影響を残しました。しかし、一方では手仕事で生産される生活用品の高価さから、富裕層にしか手に入らないという批判もあったようです。
展覧会の中では、ウィリアム・モリス氏の作品は勿論のこと、この運動に賛同した仲間達の作品も数多く展示されていました。それは何れも手の込んだ作品ばかりで、特にウィリアム・モリス氏の壁紙などは、現在の包装紙やテキスタイルにもその流れを残している印象を受けました。それは例えば、『「果実」あるいは「柘榴」』という壁紙見本だったりするのですが、勿論、私はこの様な図柄が大好きで、展示会場であるにもかかわらず、思わず声を上げて見入ってしまいました。美術館に行ったらお決まりになった、自分へのお土産のマグネット、今回はもちろん『壁紙見本「果実」あるいは「柘榴」』のものを手に入れました。このような壁紙見本といった展示品の他にも、家具やタペストリー、洋服やネックレス等、数多くの素晴らしい品々が展示されており、溜息交じりで観て歩いたのは言うまでもありません。本当に素晴らしい展覧会でした。
冒頭にupした写真、京都国立近代美術館の外観です。槇文彦氏の設計による建物です。とてもシンプルな建物でした。ところが中に入ってみると、その窓からはまるで風景の一部分を切り抜いたかのように、平安神宮の鳥居を眺めることができたり、大文字山がちらりと見えたりと、「今」の京をそのまま写真にするような、それはそれは洒落た構造になっていました。窓の近くには椅子が幾つか設置されており、ここからの自然の芸術を眺めるのも、これまた一興と思いました。
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