2008/07/03

写真集

以前、浅見光彦シリーズの『棄霊島』という作品で、端島、通称「軍艦島」が舞台になったものがありました。この本を読んで初めて、「軍艦島」と呼ばれる島が現存することを知りました。その後、どうにも興味の波が去らず、どんな所だろうか…と想い続けていました。そんなある日、図書館の書棚の間をいつものようにブラブラ歩いていると、『1972 青春 軍艦島』と題した写真集を見付けました。

端島は長崎市から18kmの沖合いに浮かぶ、コンクリートで固められた炭坑の島で、その姿が軍艦に似ていることから「軍艦島」と呼ばれるようになりました。島は南北480m、東西160m、面積6.3haので、最も人口が多かった頃は5259人の住民がいたとのことです。この島は、明治初めの開山以来80年余りにわたり、島直下及び周辺海底の石炭を採掘していましたが、1974年1月15日をもって閉山に追い込まれ、以来、今日まで無人島となっています。この写真集を出しておられる大橋弘氏は、「軍艦島」にて半年余り下請けの仕事をしていたそうで、その時に撮った写真を元に、この写真集を編集されたそうです。

おおよそ6haの土地、しかも島。その中に人々が暮らす。しかも80余年。島で生まれて島で生涯を終えることが十分にできる期間、その環境は続いたわけです。「島全体が家で、桟橋が玄関」というように写真集に記載がありましたが、人間関係やその生活様式、又、価値観など、独特の文化があったのではないかと想い馳せます。そんな場所が日本にあったなんて…全く知りませんでした。

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