2008/02/01

思わぬところで念願叶う

さて、東京旅行の記録を書き綴ってきましたが、漸く最終日のものをお伝えすることとなりました。

前日、東京旅行の3日目、IKEAからの帰り道、たまたま乗ったJR線の電車の中吊りに、千葉県市川市は文化会館で『星野道夫写真展 「星のような物語」』を開催しているとのポスターを発見。東京旅行最終日の予定はここで決定されました。

この日はham君のお仕事が終わるのを待って、一緒に新幹線に乗る予定でした。午後遅い時間にはフリーになるだとうとの予測のもと、私は午前中をゆったり使って写真展を観て回ることに。実はこの展覧会、自宅近くに来た際に「行きたい、行きたい」と思っていたのに、結局行けなかったのです。まさか、ここで過去の願いが叶うとは夢にも思っていませんでした。…とham君に、旅行後に話すと「その写真展、一緒にいったじゃない?」というお言葉が…。でも、私の記憶には”行きたい”と切望した記憶しか無く、そして未だに”行った”事実が蘇ってきていません。なんだか心地悪いですが、「まあ、何度行っても良いものだし…」ということで決着。

実際、この写真展は何度行っても良い、そういう内容のものでした。お恥かしながら存じ上げなかったのですが、星野道夫氏は千葉県市川市の出身だったとのこと。今回の展覧会は全国を巡回して来た写真たちが、そのお膝元に戻って来たという、いわば記念すべきものだったのです。全く私はラッキーだったと思わずにはいられません。

会場では、壁に所狭しとレイアウトされた作品の数々からは、星野道夫氏の自然への敬意、慈愛、そして生命の神秘への深い思いが伝わって来て、いくら時間があっても足りないくらいにボリュームのある展示でした。写真だけでなく、その傍らには星野道夫氏の言葉が添えられてありました。その中で、心に残ったものを二つご紹介したいと思います。

結果が、
最初の思惑通りに
ならなくても、
そこで過ごした時間は
確実に存在する。
そして最後に
意味をもつのは、
結果ではなく、
過ごしてしまった、
かけがえのない
その時間なのである。

人は生きているかぎり、
夢に向かって進んでいく。
夢は完成することはない。
しかし、たとえ
こころざし半ばにして
倒れても、
もしそのときまで
全力を尽くして
走りきったならば、
その人の一生は
完結しうるのでは
ないだろうか。

これらの言葉たちを読んだとき、まるで私の回りの時間が止まったかのような衝撃を受けました。私だけ、その空間に独りぽつねんと残された様な、水の奥深く潜っている様な、そんな感覚と言ったらご理解していただけるでしょうか。不思議な”時”でした。それは時間にすれば、決して長くはなかったと思うのですが、私にはものすごく長い”時”をその中で過ごしていたように感じられました。その後も何度も何度も、咀嚼するようにしてこの言葉たちを読んでいますが、私の今までを暗黙に肯定してもらっているような、そして、これからへの希望の光を与えてもらっているような、そんな不思議な感覚を常に覚えます。

星野道夫氏がヒグマの事故により他界された事実、”私には人生の途中で…”という思いがありましたが、上記の言葉を読むと、たとえこれが星野氏にとって”こころざし半ば”であったとしても、彼の人生は完結したのだと、そして、その生命は脈々と地球上の生命体に受け継がれ、長い旅に出たのだと、私には思えるようになりました。

展覧会を観終わった後、ギャラリーショップを覗くと、数多く著書が販売されていました。どれもこれも手にして読み耽りたいものでしたが、なんといっても旅行の半ば、思い荷物は禁物です(それでなくともIKEAで増えていますから)。そこで、小さなカード10枚組のものと、右の写真の書籍を買いました。偶然に出合ったこの展覧会、本当に夢の様な時間を過ごすことができました。

その余韻覚めやらぬ中、叔母にお礼を言い、一路ham君との待ち合わせ場所、東京駅へ。と思いきやham君から電話が…。トラブル発生に付き、会社を出るのが遅れるとのこと。あらら…と思いましたが、気を取り直しoazoへ。もともと帰りに寄ろうと思っていたので、ここで過ごす時間が長くなったと良い様に解釈。ショッピングとコーヒータイムを楽しみました。前日の朝から通常通り働き、そのまま夜間作業に入り、翌日も朝からも休むことなく働いている夫ham君、そんな彼に申し訳ないと思いつつ…啜るコーヒーと、口の中に放り込んむチョコレート。美味しかった…。こんな幸福、私だけが感じていても良いのだろうか…と思い、IKEAで購入したねずみ君に加え、もう一品、逸品のお土産を奮発することにしました!そして、またしても増えた「ねずみグッズ」でした。因みにこれはブックマークです。

本当に最後の最後まで、素晴らしい東京旅行でした。出会ってくれたお友達の皆さん、叔父、叔母には本当に感謝をしています。ありがとうございました。そして、最後になりましたが、連れて行ってくれたham君、ありがとう。

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