「抱擁、あるいはライスには塩を」は江國香織氏の新しい本ですが、ある家族についての物語でした。祖父母、両親、兄弟姉妹4人の8人家族の、それぞれの視点を借りて家族の変遷の物語が綴られています。
この本を読んで再確認したことがあります。それは、恐らく世の中のどの家族をとっても”フツウ”の家族はないのだろう、ということです。どの家族も特別で、そして概して”ヘン”なところがあるのだと思うのです。家族の中のことは結局は家族内で完結してしまうので、家族の構成員にしか本当のところでは理解しあえないのかもしれません。
子どもの頃はと言うと、家族が世界の中心だった気がします。成長に従い視野が広がり、世の中には多様な価値観があることを知り、時に家族の枠組みからはみ出し反抗し、否定することもあるのかもしれません。それでもやっぱり最後には自分の考え方の基礎を作った家族を肯定し、そして次には新しい家族を持つに至るのかもしれません。新しい家庭を持ったならば、伴侶となる人の家庭を知ろうと努力し、新しい価値観を知る。そうやって人間の営みは続いてきているのかな…とぼんやり考えました。
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